飲食店の表現ガイド
飲食店のホームページの価格表示|税込・お通し・飲み放題の条件の書き方
この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。
飲食店のホームページやグルメサイトの価格の書き方は、来店前の安心感に直結します。この記事では、国税庁・財務省・消費者庁の公表資料をもとに、税込表示、お通し代、飲み放題の条件の書き方と、公開前のチェックリストを整理します。アレルギーの表示は、要点だけにとどめます。
結論(この記事の要約)
- ホームページやグルメサイトの価格も、税込で表示します
- 2024年7月、税抜の価格を税込のように見せていた居酒屋の運営事業者に、消費者庁が措置命令を出しました
- お通し代・サービス料や、飲み放題の時間・対象などの条件は、価格のすぐ近くに同じ大きさで書きます
- 「通常価格→」「期間限定」は、販売の実績があり、期限を守れる場合だけ使います
- 2027年4月から2年間、テイクアウトなどの税率を1%に下げる改正案が示されています。店内飲食は対象外です
- 酒類の注意表示を入れ、アレルギーは「安心」と断定しません
何が問題になるのか(根拠と公表日)
総額表示(消費税法63条)
事業者が消費者にあらかじめ価格を表示するときは、税込価格の表示が義務です。表示媒体は問わず、口頭で伝える価格は対象外です(国税庁タックスアンサーNo.6902)。「11,000円(税込)」「11,000円(税抜価格10,000円)」などが、認められる例に挙がっています。
財務省のQ&Aは、税抜価格を文字の大きさや色でことさら強調すると誤認やトラブルのおそれがあり、税込と誤認されれば景品表示法の問題も生じうるとしています。
居酒屋への措置命令(消費者庁、2024年7月29日)
消費者庁は、グルメサイト内の店舗ページで「(税込価格)」と書いたメニューや、SNSに投稿した画像に、実際には税抜の価格を載せていた居酒屋の運営事業者に措置命令を出しました。取引条件を実際より著しく有利と誤認させる表示(有利誤認)とされています。自店のサイトだけでなく、グルメサイトやSNSの価格も確認が必要です。
打消し表示(消費者庁、2017年)
消費者庁の調査は、強調表示から離れた場所や小さな文字で書いた条件は気付かれにくく、誤認されれば問題になりうると整理しています。価格表示ガイドラインも、一括の割引で対象が一部だけなら、範囲と条件を明示する必要があるとしています。
飲み放題の時間や対象外のメニュー、お通し代のように支払総額が上がる条件も、同じ考え方で見るのが安全です(筆者の解釈)。
「通常価格」と「期間限定」(価格表示ガイドライン・措置命令)
- 過去の価格と比べる「通常価格」は、最近相当期間にわたって販売していた価格である必要があります(目安は、セール開始前8週間の過半の期間など)
- 2025年10月10日:出張カキ小屋のイベントで、提供した実績のない「通常価格」と比べた表示に措置命令
- 2025年9月12日:通販のおせちで、根拠のない将来の「通常価格」と比べた表示に措置命令
- 期限付きの条件を延長し続けた表示にも、措置命令が出ています(2025年9月22日、外壁塗装)
店内とテイクアウト(2018年の考え方と2027年4月からの予定)
現在は、店内飲食が10%、テイクアウトと出前が8%です。消費者庁・財務省などの考え方(2018年5月18日)は、両方の税込価格を示しても、片方だけでもよいとしています。ただし、テイクアウトの価格だと明瞭にせずに安いほうだけを示すと、有利誤認のおそれがあるとしています。
2026年9月15日に閣議決定された大綱では、2027年4月1日から2年間、飲食料品の税率を1%に下げる改正案が示されました(国税庁・財務省の特設サイト。法案の成立が前提)。
- テイクアウトと出前・宅配は1%、店内飲食(外食)は対象外で10%のままです
- 値札の貼り替えが間に合わない場合などに限り、切り替え前後の一定期間、誤認を防ぐ掲示を条件に、新旧どちらかの税率での総額表示を認める特例が設けられます
テイクアウトのある店は、店内との価格の差が広がるため、料金表の書き分けを見直すことになります(筆者の解釈)。
20歳未満の飲酒・飲酒運転
- 酒類を販売・提供する営業者は、20歳未満の者が飲むと知って提供してはならず、年齢の確認などの措置を講じるものとされています(二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律。東京国税局の解説)
- 警察庁は、飲酒運転をした運転者に酒類を提供した人にも、罰則があると案内しています
- 酒類事業者の自主基準(飲酒に関する連絡協議会、2026年7月1日最終改正)は、注意表示の文例を示し、飲酒運転や無理な飲酒を誘う表現をしないとしています
飲食店は自主基準の直接の対象ではありませんが、酒類を大きく扱うページでは、これにならうのが無難です(筆者の解釈)。
アレルギー(要点のみ)
店内飲食には食品表示基準が適用されず、アレルゲンの表示義務はありません(消費者庁 食品表示基準Q&A)。ただ、消費者庁は外食での情報提供を進めており、表示義務の対象(特定原材料)には2026年4月1日にカシューナッツが追加されました。書き方は飲食店のホームページのアレルギー表示で詳しく整理しています。
NG例と言い換え例
税込・税抜と、店内・テイクアウト
| 避けたい表現(例) | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「ランチ 1,000円」(実は税抜) | 税込表示が義務です。税抜を税込のように見せた例に措置命令が出ています | 「ランチ 1,100円(税込)」 |
| 「1,000円」を大きく、「(税込1,100円)」を小さく書く | 税抜価格をことさら強調すると、誤認のおそれがあります(財務省のQ&A) | 「1,100円(税込)」。税抜も書くなら「1,100円(税抜1,000円)」 |
| グルメサイトやSNSの画像だけ、古い価格や税抜のまま | 措置命令の例は、グルメサイトとSNSの表示でした | 価格を改定した日に、自店サイト・グルメサイト・予約サイト・SNSをまとめて直す |
| 店内のメニューに、テイクアウトの安い価格だけを載せる | 有利誤認のおそれがあります(2018年の考え方) | 「店内 550円/お持ち帰り 540円(いずれも税込)」 |
お通し・席料・サービス料
| 避けたい表現(例) | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| お通し代を書かない。よくある質問にだけ書く | 支払総額が上がる条件を離れた場所に置くと、気付かれにくくなります(筆者の解釈) | お品書きの冒頭と料金欄に「お通し 440円(税込・お一人さま)」。断れるならその旨も |
| 「チャージなし」と大きく書き、深夜料金やサービス料は末尾の注記だけ | 追加料金がないかのように強調し、条件を注記に回す表示は問題になりえます | 料金表に「別途かかるもの:サービス料10%(22時以降)」の欄を作る |
飲み放題・食べ放題の条件
| 避けたい表現(例) | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「飲み放題付き」だけで、時間やラストオーダーは別ページ | 強調表示から離れた条件は気付かれにくいとされています | 料金の直下に「120分飲み放題(ラストオーダーは終了の30分前)」 |
| 「全品食べ放題」(実際は一部が対象外・追加料金) | 対象が一部なのに「全品」と書くと、不当表示のおそれがあります(割引の考え方を当てはめた筆者の解釈) | 「対象外:お造り、土鍋ご飯」と列挙する |
| 「朝まで飲み放題」「一気にいこう」 | 自主基準は、無理な飲酒を誘う表現をしないとしています | 「90分飲み放題(ラストオーダー60分)」と条件だけを書く |
「通常価格」「期間限定」・酒類
| 避けたい表現(例) | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「通常価格1,320円→880円」(その価格で提供した実績がない) | 措置命令の例と同じ型です(2025年10月) | 比較価格を出さない。出すなら販売期間を書き、実績を残す |
| 「期間限定」「今だけ」を続ける | 期限を延長し続けた例に措置命令が出ています | 期限を守る。続けるなら通常メニューにする |
| 「お車でお越しの方も安心」(酒類を出す店) | 自主基準は、飲酒運転につながる表現をしないとしています | 「お車を運転される方には、ノンアルコール飲料をご用意しています」 |
LP構成のチェックリスト
価格の表示
- すべての価格を税込で表示している。税抜も書くなら、税込を主にしている
- 自店サイト・グルメサイト・予約サイト・SNSの価格がそろっている
- テイクアウトがある場合は、店内とお持ち帰りの価格を書き分けている
お通し・追加料金
- お通し代・席料・サービス料・深夜料金の有無と金額を、お品書きの冒頭か料金欄に書いている
- 「追加料金なし」と書くなら、本当に追加の費用がない
コース・飲み放題・予約
- コースの料金・品数・飲み放題の時間とラストオーダー・対象の飲み物・最少人数・予約期限を、1つの表にまとめている
- 対象外のメニューや追加料金の条件を、料金の直下に同じ大きさで書いている
- キャンセル料と人数変更の期限を、予約ボタンより前に書いている
割引・期限
- 「通常価格」と比べるなら、その価格で販売した期間を記録している
- 「期間限定」は、期限どおりに終えている
酒類・アレルギー
- 酒類の価格の近くかフッターに、20歳未満の飲酒と飲酒運転についての注意表示がある
- 飲み放題は、20歳未満の方と車を運転する方には出さない旨を書いている
- アレルギーは「安心」と断定せず、同じ厨房で調理していることと、申し出の方法を書いている
サンプルLPの紹介(架空店舗のデザインサンプル)
「酒と肴 こなぎ」は、ミセノマドが作った架空の和食居酒屋のLPです。上のチェックリストに沿って構成しました。
- 価格はすべて税込で表示し、お品書きの冒頭と末尾にもその旨を書きました
- お通し(お一人さま440円・税込)は、お品書き・よくある質問・店舗情報の3か所に書き、コースでは出さないことも明記しました
- 3つのコースを1つの表にまとめ、料金・品数・飲み放題の時間とラストオーダー・人数・予約期限を同じ大きさで並べました
- 表の直下に、飲み放題の対象の飲み物、20歳未満の方と車を運転される方には出さないこと、キャンセルの条件を書きました
- 酒類の注意表示を、飲み物の価格の下とフッターに入れました
※架空店舗のデザインサンプルです。実在の店舗・人物とは関係ありません。写真はイメージです。
まとめ
- 価格は税込で表示し、グルメサイトやSNSの価格もそろえる
- お通し代・サービス料・飲み放題の条件は、価格のすぐ近くに同じ大きさで書く
- 「通常価格」「期間限定」は、実績と期限を確かめてから使う
- テイクアウトのある店は、2027年4月からの税率引下げ(予定)に合わせて書き分けを見直す
ミセノマドのLP制作では、ガイドラインに沿った表現の自主チェックを行い、気になる表現の理由と言い換え案をお伝えしています。ご相談はココナラで受け付けています(サービスの案内)。
注記
- この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
- 「筆者の解釈」と書いた部分は、公表資料をもとにした一般的な解釈で、行政の判断ではありません。
- 内容は、2026年10月1日〜5日に確認した資料にもとづいています。法令やガイドラインは改正されることがあります。
- 2027年4月からの税率引下げは、2026年9月15日の閣議決定にもとづく改正案です。最新の内容は国税庁の特設サイトで、税の扱いは税務署や税理士にご確認ください。
出典
- 国税庁「No.6902『総額表示』の義務付け」
- 財務省「総額表示に関する主な質問について」
- 消費者庁・財務省ほか「消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について」(2018年5月18日)
- 国税庁・財務省「消費税率引下げ特設サイト」(2026年9月15日)、「同Q&A」(2026年9月)
- 消費者庁 居酒屋の運営事業者への措置命令(2024年7月30日公表)
- 消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書(概要)」(2017年)
- 消費者庁「価格表示ガイドライン」(2000年6月30日、改定あり)
- 消費者庁「令和7年度における景品表示法等の運用状況」(2026年5月28日)
- 東京国税局「20歳未満飲酒防止に関するもの」
- 警察庁「飲酒運転を絶対にしない、させない」
- 飲酒に関する連絡協議会「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」(2026年7月1日最終改正)
- 消費者庁「食品表示基準Q&A 第1章 総則」(2026年4月版)
- 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」