工務店・リフォームの表現ガイド
リフォーム・工務店のLPで避けたい表現と言い換え|実質0円・無料点検・地域最安値
この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。
工務店やリフォーム会社のLP(集客用の1ページのサイト)では、「実質0円」「無料点検」「地域最安値」といった言葉をよく見かけます。この記事では、消費者庁・国民生活センター・国の補助事業などの公表資料をもとに、避けたい表現と言い換え例、公開前のチェックリストを整理します。対象はリフォーム工事のLPで、新築の分譲や不動産の仲介は扱いません。
結論(この記事の要約)
- 費用は税込の範囲で示し、含まれる工事・含まれない工事を書きます
- 「地域最安値」「今だけ」「No.1」「施工実績◯件」は、根拠と実態がなければ使いません
- 「無料点検」「火災保険で0円」は、点検商法などの注意喚起と同じ言葉です
- LPからの依頼で自宅を訪ねて契約する場合も、クーリング・オフなど訪問販売の規定がかかることがあります
- 補助金は「実質0円」と書かず、審査や予算の上限を書きます。補助事業の事業者登録は、優良性の認定ではありません
- お施主様が申請する補助金で「申請代行」をうたうと、行政書士法に触れるおそれがあります
何が問題になるのか(根拠と公表日)
景品表示法:価格・期限・No.1・実績件数
工事の内容を実際より著しく良く見せる表示(優良誤認)や、価格などを著しく有利に見せる表示(有利誤認)は、景品表示法で禁止されています。
- 価格表示ガイドライン(2000年6月30日、改定あり)は、「カベ1部屋5,000円 クロス張替え」と表示して施工料金を別に請求する例を、不当表示のおそれとして挙げています
- 2025年3月5日:埼玉県が水回り修繕の事業者に措置命令。表示した実績件数が実際を大きく上回り、他社との価格比較も客観的な調査ではありませんでした
- 2025年9月22日:消費者庁が外壁塗装の事業者に措置命令(有利誤認)。「好評につき期間延長」「今だけ」と、期限内の申込みに限り内窓を無料で付けるように見せていましたが、期限後も同じかそれ以上の条件でした
- 2024年3月5日:消費者庁が家庭用蓄電池の販売施工業者に措置命令(優良誤認)。満足度などの「第1位」の根拠は、比較対象を任意に選んで印象を問う調査で、「施工実績12,000件突破」の実際は1,800件程度でした
点検商法・保険を口実にした勧誘
- 国民生活センター(2023年10月11日):屋根工事の点検商法の相談は2018年度923件から2022年度2,885件に増え、契約者の8割超が60歳以上でした
- 東京都(2026年3月31日処分):無料で外から見るだけと言って点検を装い訪問した、ガス給湯器交換の2社に業務停止命令
- 消費者庁(2024年6月27日):火災保険で実質無料で直せるとうたい、経年劣化を自然災害の損害のように説明した事業者に注意喚起
- 消費者庁(2025年7月31日):「2,980円〜」と広告し、著しく高い金額を請求した水回り修理業者に注意喚起
無料の点検自体は違法ではありませんが、LPの「無料点検」はこれらと同じ言葉に見えます(筆者の解釈)。
LPからの訪問・契約と特定商取引法
訪問販売では、契約書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフができます。工事を始めていても代金は払わなくてよく、建物の現状が変わっていれば無償で元に戻すよう求めることもできます。
消費者が自分から自宅での契約を求めた場合は、これらの規定が適用除外になります。ただし、問合せを受けて事業者が訪問を申し出た、見積もりのつもりで呼んでその場で契約した、広告の安い価格と請求に大きな開きがある、といった場合は除外されないと消費者庁は整理しています。LPからの見積もり依頼で自宅で契約する流れも、規定がかかる前提で書くのが安全です(筆者の解釈)。
2026年9月10日の消費者庁の検討会の中間取りまとめは、ウェブで実際と著しく違う価格(下限だけの「◯円〜」を含む)を示して来訪させ、高額な契約を勧誘する行為を行政処分の対象とする方向を示しました。法改正はまだ成立していません。
補助金と行政書士法
- 住宅省エネ2026キャンペーンのリフォームの補助は、登録した工事施工者などが申請し、発注者は申請できません。予算の上限に達すると受付が終わります
- 事業者登録規約(2026年3月制定)は、登録しても国や事務局が優良性を認定するわけではないとし(第1条第1項)、名称などを使って優良性・有利性を誤認させる広告を禁止しています(第6条③)
- 先の外壁塗装の措置命令の資料には、「内窓補助金」と「実質無料」を並べた表示もありました。違反とされたのは期限の部分ですが、交付が決まる前に補助金と「実質0円」を結び付けるのは避けるべきと考えます(筆者の解釈)
- 行政書士法19条は、行政書士でない者が報酬を得て官公署に出す書類の作成を業とすることを制限しています。2026年1月1日施行の改正で「いかなる名目によるかを問わず」が加わりました
事業者が申請する制度で「当社が手続きを行います」と書くのは事実の説明です。お施主様が申請者になる制度で「申請代行」をうたうと、無料と書いても工事代金を通じた報酬と見られるおそれがあります(筆者の解釈)。
建設業許可の表示
軽微な工事(建築一式以外は1件500万円未満など)だけを請け負う場合を除き、建設業には許可が要ります。許可がないのに許可業者と明らかに誤認されるおそれのある表示は禁止され、過料の対象です(建設業法40条の2・55条)。
NG例と言い換え例
価格・期限・実績
| 避けたい表現(例) | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「地域最安値」「最安値に挑戦」 | 競合の価格を調べた根拠が要ります。「挑戦」でも最安と受け取られます(筆者の解釈) | 工事ごとに「費用の目安(税込)」を範囲で示す |
| 「トイレ交換 ◯万円〜」を大きく、条件は小さく | 下限だけの価格と実際の請求の差は、注意喚起の対象になっています | 「20万〜35万円(税込・取り外しと処分・標準の取り付けを含む)」 |
| 「追加費用一切なし」 | 下地の補修などが別にかかるなら、事実と違います | 「見えなかった不具合は、写真でご説明し、ご了承を得てから工事します」 |
| 「今だけ」「好評につき期間延長」 | 期限後も同じ条件だった例に措置命令が出ています | 期限を設けるなら本当に終える |
| 「地域No.1」「施工実績10,000件」 | 調査や集計の中身が問われます | 「2021年4月〜2026年3月の請負工事 1,240件(自社集計)」 |
補助金・保険・点検
| 避けたい表現(例) | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「補助金で実質0円」「必ずもらえる」 | 交付は審査や予算しだいです | 「対象になりそうかを確認します。予算の上限などで受けられない場合があります」 |
| 「キャンペーン公認」「国の認定業者」 | 事業者登録は優良性の認定ではありません | 「住宅省エネ支援事業者として登録しています(優良性の認定ではありません)」 |
| 「補助金の申請代行」(お施主様が申請する制度) | 行政書士法19条に触れるおそれがあります(筆者の解釈) | 「当社が用意する書類(見積書・工事写真)をお渡しします」 |
| 「火災保険で自己負担0円」 | 保険で実質無料とうたう勧誘に注意喚起が出ています | 書かない |
| 「無料点検実施中」「近所で工事中なので」 | 点検商法の典型の言い方と重なります | 「現地調査・見積もりは無料です(ご依頼の場合)」「突然の訪問営業はしません」 |
保証・契約・写真・許可
| 避けたい表現(例) | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「10年保証」とだけ書く | 主体・対象・対象外が分からないと、条件を誤認させるおそれがあります(筆者の解釈) | 「当社の工事保証:水回りの工事部分 2年。対象外:設備本体の故障(メーカー保証)、自然災害」 |
| 「リフォームかし保険付き」(加入しない工事を含む) | かし保険は、登録事業者が工事ごとに加入する第三者の保険です | 加入する工事にだけ書く |
| 「クーリング・オフの対象外です」「当日契約で特別価格」 | 自宅での契約には訪問販売の規定がかかることがあります | 「契約書を一緒に確認してからご署名いただきます。持ち帰ってご検討ください」 |
| 素材写真・AI画像の「施工事例」、別の建物を並べた前後比較 | 施工実績を誤認させるおそれがあり、「写真はイメージです」では打ち消せない場合があります | 自社で撮った施工写真だけにする。前後比較は同じ物件・同じ条件の加工なしの写真に限る |
| 許可がないのに「建設業許可業者」 | 建設業法40条の2に反します | 許可通知書どおりに書き、許可がなければ書かない |
LP構成のチェックリスト
費用・実績
- 費用は税込の範囲で示し、含まれるもの・含まれないもの・確定の方法を表の直下に書いている
- 「最安」「今だけ」「通常価格→」を使っていない
- 実績件数に期間・範囲・集計元を書き、許可・資格は証明書類で確認している
点検・補助金・保険
- 「無料点検」「火災保険で0円」「補助金で実質0円」を使っていない
- 補助金は正式な制度名で書き、受けられない場合があることを書いている
- お施主様が申請する制度で「申請代行」と書いていない
保証・契約
- 保証の主体(自社・メーカー・保険)、対象、期間、対象外を分けて書いている
- 見積もり後に断ってよいことと、契約前に契約書で確認することを書いている
- クーリング・オフに触れるなら、条件があることが分かる書き方にしている
施工事例・お客様の声
- 施工事例は自社の施工写真で、地域・築年数・工期・費用(税込)を添えている
- 声は説明や工事中の配慮についての感想にし、「個人の感想です」と選び方を書いている
サンプルLPの紹介(架空店舗のデザインサンプル)
「すみいと工務店」は、ミセノマドが作った架空の工務店のLPです。
- 費用の目安は税込の範囲で示し、含まれないものと追加が出るときの手順を表の下に書きました
- 「無料点検」は使わず、「現地調査・見積もり無料」と「当社から突然の訪問営業はしません」を並べました
- 補助金は、対象になりそうかの確認と、当社が用意する書類のお渡しまでにとどめました
- 保証は当社独自の工事保証として、メーカーの保証やかし保険と分けて書きました
- 施工事例は架空の設定例と明記し、写真ではなくイラストで示しました
※架空店舗のデザインサンプルです。実在の店舗・人物とは関係ありません。写真はイメージです。
まとめ
- 費用は税込の範囲と、含まれる工事・含まれない工事で書く
- 「最安」「今だけ」「No.1」「無料点検」「実質0円」は、根拠と実態がなければ使わない
- LPからの依頼でも、訪問販売の規定がかかる前提で契約の流れを書く
- 補助金の登録を「認定」と書かず、お施主様が申請する制度で「申請代行」をうたわない
ミセノマドのLP制作では、ガイドラインに沿った表現の自主チェックを行い、気になる表現の理由と言い換え案をお伝えしています。ご相談はココナラで受け付けています(サービスの案内)。
注記
- この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
- 「筆者の解釈」と書いた部分は、公表資料をもとにした一般的な解釈で、行政の判断ではありません。
- 内容は、2026年10月5日に確認した資料にもとづいています。補助金の制度や法令は変わることがあります。
- 契約書面、クーリング・オフの告知文、補助金の申請書類は、この記事の範囲外です。
出典
- 消費者庁「価格表示ガイドライン」(2000年6月30日)
- 消費者庁「令和6年度 景品表示法等の運用状況」(2025年5月29日)
- 消費者庁 措置命令(外壁塗装、2025年9月22日/家庭用蓄電池、2024年3月5日)
- 消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書」(2017年)
- 国民生活センター 屋根工事の点検商法(2023年10月11日)
- 東京都 給湯器交換の2社への業務停止命令(2026年3月31日処分)
- 消費者庁 注意喚起(火災保険、2024年6月27日/水回り修理、2025年7月31日)
- 消費者庁 特定商取引法ガイド(訪問販売/第26条の解説/適用除外Q&A)
- 消費者庁 検討会「中間取りまとめ」(2026年9月10日)
- 住宅省エネ2026キャンペーン(リフォームの補助/事業者登録規約/事業者の検索)
- 日本行政書士会連合会 改正行政書士法の施行(2026年1月1日)
- 建設業法(e-Gov法令検索/国土交通省「建設業の許可とは」)
- 住宅瑕疵担保責任保険協会「リフォームかし保険」