学習塾の表現ガイド

塾の料金ページの書き方|入塾金・教材費・講習費と「入塾金0円」の注意点

公開 2026年10月5日|ミセノマド

この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。

学習塾の料金は費目が多く、どこまで書くか迷いやすいところです。消費者庁の事例、全国学習塾協会の自主基準、特定商取引法の要件をもとに、料金ページに載せる項目と言い換え例を整理します。

合格実績の書き方は学習塾のホームページで合格実績・成績アップを書くときの表示ルールで扱っています。契約書面・概要書面の文面は扱いません。

結論(この記事の要約)

  • 料金は税込で、費目ごとに金額・時期・必須か任意かを書き、年間の目安を1例示します
  • 入塾金の「0円」「半額」は、通常の金額で最近実際にとっていなければ使いません。とらないなら「入塾金なし」とだけ書きます
  • 入塾金の割引に期限を付けるなら、その日で本当に終えます
  • 他塾との料金比較や、1時間あたりの単価だけを大きく出す表示は避けます
  • 期間2か月超・総額5万円超の契約は、特定商取引法の「特定継続的役務提供」に当たることがあります。当たるかどうかは、塾の運営者が専門家や消費生活センターなどに確認してください

何が根拠か

入会金の「0円」「半額」(2025年10月17日 英会話教室、2025年2月26日 パーソナルジム)

  • 2025年10月17日:英会話教室の事業者に措置命令(有利誤認)。自社サイトで「入会金 一般 20,000円(税込22,000円)▶0円」などと、2024年9月から2025年4月まで月ごとに表示していました(「半額」の月もあり)。実際には、その通常の入会金を最近相当期間にわたって支払わせた実績がありませんでした
  • 2025年2月26日:パーソナルジムの事業者の確約計画を認定。期限までに無料体験をし、当日に入会した場合に限り、通常5万円の入会金が値引きされるかのように表示していました。実際には期限後でも値引きされていた疑いがありました。計画には入会金の一部の返金が含まれます。違反を認定したものではありません

価格表示ガイドライン(2000年6月30日、2016年4月1日改定)も、最近相当期間にわたって販売されていたとはいえない価格と比べる表示は、内容を正確に示さない限り、不当表示のおそれがあるとしています。

「通常◯円→0円」と書くならその金額で実際にとっていた実績が要り、期限を書くなら期限後は元に戻す、と読み取れます(筆者の解釈)。

料金比較表と1時間あたりの料金(2023年3月2日 個別指導塾)

個別指導塾の事業者に措置命令(有利誤認)。自社サイトの「他の個別指導塾との料金比較表」で、中学1年生の定額コースを1時間あたり835円、他塾を1時間あたり2,500円と示していました。実際は1時間あたり1,188円で、比べた他塾の月謝も同じ条件のものではありませんでした。

価格表示ガイドラインも、内容や適用条件が違うものの価格と比べる表示を、不当表示のおそれがある例に挙げています。

全国学習塾協会の自主基準(費用の表示)

協会の自主基準(1999年11月22日施行、2011年10月10日改正)の第7条は、次の事項を明確に表示するよう定め、消費税は総額表示としています。

  • 契約期間内の経費の総額(概算)
  • 費目別の経費(入塾金・受講料・教材費・模擬試験代・管理費など)
  • 購入が必要な関連商品、支払いの時期と方法
  • チケット制の回数・有効期限
  • クーリング・オフ、中途解約と精算の方法、更新の費用

協会員向けの基準ですが、加盟していない塾でも、載せる項目の目安になります(筆者の解釈)。国税庁も、消費者にあらかじめ示す価格は税込で表示する、と案内しています。

特定商取引法の特定継続的役務(2か月超・5万円超)

学習塾は「特定継続的役務」の一つです。要件と目安は、後の見出しで整理します。

料金ページに載せる項目

項目書き方の例ポイント
月謝学年×週の回数の表。1コマの時間と月の回数も「◯円〜」だけにしない
入塾金「11,000円(入塾時のみ)」。とらないなら「入塾金なし」免除は兄弟姉妹など常設の条件で
施設・管理費「月1,650円(自習スペース・プリントなど)」月謝と同じ表に入れる
教材費「1冊1,320〜2,200円」。必須か任意かまとめて買うなら教材名と合計額
季節講習・模試料金、必須か任意か、知らせる時期実態どおりに書く
年間の目安条件を決めた1例の合計と内訳協会の基準の「経費総額(概算)」
支払い時期と方法入塾時に払う費用を分ける
退塾・休会何日前までに、どの方法で、いつから月謝がかからないか料金表のすぐ下に置く

金額には「(税込)」を付けるか、表の上に「すべて税込です」と書きます。条件や注記は、料金表のすぐそばに本文と同じ大きさで書きます。消費者庁の調査(2017年)は、強調した表示から離れた小さな注記には気付きにくいとしています。

年間の目安の示し方(例)

例の条件年間の目安(税込)
中学2年生・週2回・教材2冊・季節講習なし約31万2,000円
上の条件に、夏期講習12コマを加えた場合約35万2,000円

内訳(入塾金11,000円+月謝23,100円×12か月+管理費1,650円×12か月+教材3,960円)も添えると、読む人が置き換えて考えやすくなります。

NG例と言い換え例

避けたい表現(例)理由言い換えの例
「入塾金 通常20,000円→0円」(通常の金額でとった実績がない)通常の入会金を支払わせた実績がない「0円」表示に、措置命令が出ています(2025年10月)とらないなら「入塾金なし」とだけ書く
「◯日までの体験・当日入塾で入塾金半額」(期限後も同じ条件)入会金の期限付き値引きで、確約計画が認定された例があります(2025年2月)。当日入塾の条件は、急いで決めさせる形にもなります(筆者の解釈)割引は兄弟姉妹などの常設の条件にする。期限を書くなら、その日で終える
他塾との料金比較表、「1時間あたり◯円」の単価だけを大きく条件の違う他塾と比べ、単価も実際と違っていた比較表に、措置命令が出ています(2023年3月)比べない。単価を出すなら、月謝と月の授業時間を並べる
「月謝9,900円〜」だけを大きく、管理費・教材費は別ページ一緒に請求する費用を示さず価格だけを表示する形は、不当表示のおそれがある例に挙がっています(価格表示ガイドライン)費目別の表に必須か任意かと時期を書き、年間の目安を示す
「追加料金なし」(実際は教材費・講習費がかかる)条件を小さな注記に回すと、読む人は気付きにくくなります料金表に「別途かかる費用」の欄を作る
季節講習を「任意」と書きながら、受けないと通常授業を続けにくい実態と違う取引条件の表示は、有利誤認のおそれがあります(筆者の解釈)実態どおり「必須」か「任意」かを書く
「入塾金・教材費は、いかなる場合も返金しません」特定継続的役務に当たる契約では、入会金を返還しないとする特約は無効とされています(消費者庁Q&A Q15)退塾・返金のルールを料金表の近くに置く。文面は専門家と決める

特定商取引法に当たるかの目安

学習塾の契約は、次の3つを満たすと「特定継続的役務提供」に当たります(消費者庁 特定商取引法ガイド)。

  • 役務:入試に備えるため、または学校の補習のための学力の教授で、事業者が用意する教室などで行うもの。幼稚園・小学校の受験対策と、浪人生だけのコースは除かれます
  • 期間:2か月を超える
  • 金額:5万円を超える。入会金・受講料・教材費・関連商品などの総額で見ます

家庭教師(教室以外の場所での教授)も同じ期間・金額で対象で、インターネットなどで行う役務も広く含まれます。消費者庁のQ&Aは、次のように説明しています。

  • 1か月単位で更新される月謝制は、原則として期間の要件を満たしません。ただし、教材の販売などで、実態として2か月を超えて契約に拘束されると判断される場合は、対象になることがあります(Q27)
  • 有効期限のあるチケット制は、有効期限を期間とみなします(Q3)
  • 対象外だった契約を変えて要件を満たすと、変えた時点から対象になります(Q5)

契約の例と目安(筆者の解釈)

契約の例目安
月謝制で期間の定めがなく、翌月から退塾できる原則は対象外。教材をまとめて買う場合などは確認する
1年間の契約で、総額が5万円を超える対象になる
夏期講習だけの申込(期間が2か月以内)期間の要件を満たさない
夏期講習と秋からの通常授業をまとめて申込(2か月超・5万円超)対象になりうる
入塾時に教材をまとめて買う教材費も総額に入る。教材は関連商品として解除の対象になりうる

対象になる場合の主なルールは、次のとおりです。

  • 契約の前に概要書面、契約の後に契約書面を渡す
  • 著しく事実と違う表示や、実際より著しく優良・有利と誤認させる広告をしない
  • クーリング・オフ:書面を受け取った日から8日以内
  • 中途解約:クーリング・オフの期間後も可能。学習塾が請求できる額は、授業の開始前は1万1,000円まで。開始後は、提供した授業の対価に加えて、2万円か1か月分の授業料相当額の低いほうまで
  • 教材などの関連商品も、解除の対象になる

料金ページには、たとえば「特定継続的役務提供にあたる契約になる場合は、契約の前に書面をお渡しして説明します」と書いておく方法があります(筆者の解釈)。

当たるかどうかは、契約の実態で判断されます。塾の運営者が、契約の期間・前払い・教材の買い方・講習の申込の仕方を整理したうえで、弁護士などの専門家や、消費生活センターなどの窓口に確認してください。書面の文面も、運営者が専門家と用意してください。

サンプルLPの紹介

「ゆうづつ個別指導塾」は、ミセノマドが作った個別指導塾のLPのデザインサンプルです。

  • 金額はすべて税込。月謝は学年と週の回数の表にし、1コマ80分の条件を添えました
  • 入塾金は11,000円と書き、兄弟姉妹の在籍時にかからないことを常設の条件にしました。「0円」「今だけ」は使っていません
  • 管理費・教材費・季節講習・模擬試験を1つの表にまとめ、必須か任意かと時期を書きました。年間の目安は内訳つきで1例示しました
  • 退塾・休会の手続きと、特定継続的役務にあたる場合は書面で説明することを、表のすぐ下に書きました

ゆうづつ個別指導塾(デザインサンプル)を見る

まとめ

  • 料金は税込で、費目・時期・必須か任意かを1つの表にまとめ、年間の目安を1例示す
  • 入塾金の「0円」「半額」は、通常の金額での実績と、期限の実態がなければ使わない
  • 他塾との比較や、単価だけの強調はしない
  • 2か月超・5万円超の契約は特定継続的役務に当たることがある。判断は専門家や窓口に確認する

ミセノマドのLP制作では、ガイドラインに沿った表現の自主チェックを行い、気になる表現の理由と言い換え案をお伝えしています。契約書面・概要書面などの文面は作成していません。ご相談はココナラで受け付けています(サービスの案内)。

注記

  • この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
  • 「筆者の解釈」と書いた部分は、公表資料をもとにした一般的な解釈で、行政の判断ではありません。
  • 確約計画の認定は、消費者庁が違反を認定したものではありません。
  • 全国学習塾協会の基準は協会員向けの自主基準で、加盟していない塾に守る義務はありません。
  • 内容は、2026年10月5日までに確認した資料にもとづいています。法令や基準は改正されることがあります。

出典

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