学習塾の表現ガイド

学習塾のホームページで合格実績・成績アップを書くときの表示ルールと言い換え例

公開 2026年10月5日|ミセノマド

この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。

学習塾のホームページやLPで、合格実績や成績の伸びをどう書くかは迷いやすいところです。この記事では、消費者庁の措置命令と全国学習塾協会の合格実績の基準をもとに、避けたい表現と言い換え例、実績の書き方、公開前のチェックリストを整理します。

対象は小中学生向けの学習塾です。料金の表示と契約(特定商取引法)の説明は扱いません。

結論(この記事の要約)

  • 合格実績・成績の伸び・講師の経歴は、景品表示法の「優良誤認」の対象です
  • 合格者数・合格率・講師の出身大学の割合・No.1表示・保証の期限表示に、措置命令が出ています
  • 全国学習塾協会は、合格実績に数えてよい塾生の条件を定めています(2024年7月1日変更)
  • 実績を載せるなら、年度・範囲・数えた生徒の条件を数字のすぐそばに書きます。そろえられない数字は載せません
  • 「必ず成績が上がる」「全員合格」「No.1」「成績保証」は避けます

何が問題になるのか(根拠と公表日)

景品表示法:実績・成績・講師の表示

  • 優良誤認表示:サービスの内容を、実際や他社より著しく良く見せる表示。合格実績・成績・講師の表示が当たります
  • 有利誤認表示:料金や保証などの条件を、実際より著しく有利に見せる表示
  • 不実証広告規制:「成績が上がる」などの表示に、消費者庁は合理的な根拠の資料を求めることができます。出せなければ優良誤認とみなされます(不実証広告規制に関する指針、2003年10月28日、2016年4月1日一部改正)

学習塾・受験講座への措置命令(消費者庁)

  • 2011年4月26日:大学入試講座の合格実績。表示した合格者数を、実際の人数が大きく下回っていました(ある大学で表示43名、実際15名など)
  • 2012年5月10日:受験対策の講座が示した「全国一の合格率」が、実際の割合ではなく、高く見えるように設定した数値でした
  • 2014年5月20日:学習塾のチラシで、講師の98%が国公立大学・大学院の出身であるかのように表示。実際は約14%でした
  • 2023年1月12日:オンライン個別指導。利用経験を確かめない調査による「利用者満足度No.1」など(優良誤認)と、「返金保証」「成績保証」を期限つきに見せ、期限後も使えた表示(有利誤認)。同年8月1日に課徴金納付命令(6,346万円)
  • 2023年3月2日:個別指導塾の他塾との料金比較表。1時間あたりの授業料を実際より安く示し、条件の違う他社と比べていました(有利誤認)

令和6・7年度の運用状況の事件一覧に、学習塾を名宛人とする国の措置命令は、筆者が確認した範囲では見当たりませんでした。

全国学習塾協会の合格実績基準(2024年7月1日変更)

公益社団法人全国学習塾協会は、合格実績に数えてよい塾生の条件を、次のように定めています。

  • 受験直前の6か月間に在籍があり、同じ期間に30時間以上、または3か月以上続けて受講した生徒を数える
  • 体験授業や模試だけの生徒は数えない。無料講習・自習・補習は受講時間に含めない
  • 実績が「事業主体の全部」「分教室の一部」「提携塾」などのどれにあたるかを明示する
  • 小学校・中学校・高校・大学受験の内訳を示さずに合計しない(同じ系列の中学・高校でも)。単年度か累積かを明示する
  • 生徒の氏名を出すときは、本人と保護者の同意を得る

協会の自主基準(1999年11月22日施行、2011年10月10日改正)は、実際より著しく優良と誤認される表示をしないことも定めています(第9条)。協会員向けの基準ですが、加盟していない塾でも、実績の根拠を説明するときの物差しになります(筆者の解釈)。

No.1表示と体験談(消費者庁)

  • No.1表示に関する実態調査報告書(2024年9月26日):実際の利用者を対象にした公平な調査で、表示と結果が対応している必要があると整理しています。「◯%が満足」のような表示も同じ考え方です
  • 打消し表示に関する実態調査報告書(2017年):体験談を見た人は、多くの人に同じ効果があると受け取りやすく、「個人の感想です」と添えてもほとんど変わらないとされています

NG例と言い換え例

言い換えの例の数字は、説明のための架空のものです。

合格実績

避けたい表現(例)理由言い換えの例
提携塾の生徒や、体験・模試・講習だけの生徒を含めた合格者数協会の基準は、体験・模試だけの生徒を数えず、範囲の明示を求めています「2026年度 合格実績(当塾の全教室・単年度)」と書き、数えた生徒の条件を添える
「全員合格」「合格率100%」(年度・人数なし)母数がないと確かめようがなく、指導の効果として受け取られます(筆者の解釈)「2026年3月の受験生12名のうち、第一志望校に進学した生徒は9名(当塾調べ)」。または書かない
「△△中学・高校 ◯名合格」など、中学受験と高校受験の合計協会の基準は、同じ系列の学校でも、受験の種類の内訳を示さない合計を認めていません「高校受験◯名/中学受験◯名」と分ける

成績アップ・保証

避けたい表現(例)理由言い換えの例
「成績アップ率95%」(定義・母数・期間なし)割合の表示にも、対象者・方法・表示との対応が求められます対象者の条件と人数、比べた時点と科目、上がった・変わらない・下がった人数を同じ画面に書く
点数が上がった生徒だけの一覧(「◯点UP!」)多くの生徒が同じように上がると受け取られやすくなります取り組みで書く(「テストの2週間前から、ワークを2周する計画を一緒に立てます」)
「必ず成績が上がる」「絶対合格」「必ず」を実証できる資料は、通常ないと考えられます(筆者の解釈)方法と時間で書く(「1回80分のうち35分を演習にあてます」)
「成績保証」の条件が小さい、期限が実態と違う保証の期限表示に措置命令が出ています(2023年1月)保証は使わないのが無難。使うなら条件を同じ画面・同じ大きさで書き、期限は本当に終える

講師・No.1・声・写真

避けたい表現(例)理由言い換えの例
「講師の98%が国公立大出身」など実際と違う割合実際は約14%だった表示に措置命令が出ています(2014年)「講師4名(塾長・社会人1名・大学生2名、2026年10月現在)」
「保護者満足度No.1」(印象を問う調査)利用経験を確かめない調査によるNo.1に、措置命令と課徴金が出ていますNo.1を使わない。自塾のアンケートなら時期と回答数を添える
声の主役が「◯点上がった」「志望校に受かった」「個人の感想です」と添えても、受け取り方はほとんど変わりません声は説明のわかりやすさや通いやすさにし、選び方を書く
学校名+イニシャル+点数・進学先少人数の学年などでは、生徒が特定されるおそれがあります(筆者の解釈)学校名と個人の情報を組み合わせない
モデル写真を「合格した生徒」として使う素材サイトの規約で、成功体験のような使い方を禁じている例があります雰囲気の写真に限り「写真はモデル(イメージ)です」と書き、実績のそばに置かない

実績を載せるなら

実績の数字は、条件をそろえられるときだけ載せます。次の項目を、数字のすぐそばに本文と同じ大きさで書きます。

書く項目書き方の例
年度「2026年度」。単年度か累積かも書く
範囲「当塾の全教室」「◯◯教室のみ」
数えた生徒の条件「受験直前の6か月間に在籍し、30時間以上または3か月以上受講した塾生」
受験の種類高校受験・中学受験を分ける
母数「受験した塾生12名のうち」。協会の基準にはない項目ですが、あると判断しやすくなります(筆者の解釈)

書き方の例

2026年度 高校受験の結果(当塾の全教室・単年度):受験した塾生12名のうち、第一志望校に進学した生徒は9名。受験直前の6か月間に在籍し、30時間以上または3か月以上受講した塾生を数えています(体験・模試だけの生徒は含みません)。当塾調べ。

点数の変化を載せるなら、対象の条件と人数、比べた時点と科目、上がった・変わらない・下がった人数を書きます。名簿や受講記録など、数字の元になる記録も残しておきます。

LP構成のチェックリスト

ファーストビュー・信頼バー

  • 合格者数・成績アップ率・満足度を、条件なしで大きく出していない
  • 信頼バーは、開塾年・指導形式・席数など、確かめられる事実で書いている

実績・成績

  • 実績のそばに、年度・範囲・数えた生徒の条件を書いている
  • 体験・模試・講習だけの生徒や、提携塾の生徒を混ぜていない
  • 中学受験・高校受験などを合計せず、分けて書いている
  • 点数の変化は、全体の人数を示すか、載せていない

講師・保証

  • 講師の人数・属性・経歴は、時点を添えて事実で書いている
  • 「必ず」「全員合格」「No.1」「保証」を使っていない
  • 期限・先着の表示は、実際の運用どおりになっている

声・写真・個人情報

  • 声は点数・合格を主役にせず、選び方を書いている
  • 学校名・イニシャル・点数・進学先を組み合わせていない
  • 生徒の氏名・写真は、本人と保護者から書面で同意を得ている
  • 素材サイトのモデル写真を、生徒や合格者として使っていない

生成AIの下書きには、「成績アップ率」のような数字がそれらしく入ることがあります。根拠のない数字は公開前に削ってください。

サンプルLPの紹介(架空店舗のデザインサンプル)

「ゆうづつ個別指導塾」は、ミセノマドが作った架空の個別指導塾のLPです。

  • 合格・進学先・点数などの数字は載せていません。架空の塾には根拠がないためです
  • 代わりに「実績の掲載について」の枠を置き、実際の塾で載せるなら、年度・範囲・数えた生徒の条件を数字のそばに書くことを示しました
  • 信頼バーは開塾年・指導形式・自習席の数・駅からの分数だけにし、取り組みは1回80分の時間配分と学習記録で書きました
  • 声はアイコンで表示し、点数には触れていません。「個人の感想です」と、声も架空である旨を添えました
  • 生徒の写真は使わず、塾長のモデル写真には注釈を付けました

ゆうづつ個別指導塾(デザインサンプル)を見る

※架空店舗のデザインサンプルです。実在の店舗・人物とは関係ありません。写真はイメージです。

まとめ

  • 合格実績・成績・講師の表示は、景品表示法の優良誤認の対象になる
  • 実績は、年度・範囲・数えた生徒の条件を数字のそばに書く。そろえられなければ載せない
  • 「必ず」「全員合格」「No.1」「成績保証」、好事例だけの点数の一覧は使わない
  • 声は授業の様子や通いやすさで書き、生徒が特定される情報を組み合わせない

ミセノマドのLP制作では、ガイドラインに沿った表現の自主チェックを行い、気になる表現の理由と言い換え案をお伝えしています。ご相談はココナラで受け付けています(サービスの案内)。

注記

  • この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
  • 「筆者の解釈」と書いた部分は、公表資料をもとにした一般的な解釈で、行政の判断ではありません。
  • 内容は、2026年10月5日までに確認した資料にもとづいています。基準や法令は改正されることがあります。
  • 2014年までの措置命令は、消費者庁「景品表示法における違反事例集」で確認しました。
  • 全国学習塾協会の基準は協会員向けの自主基準で、加盟していない塾に守る義務はありません。

出典

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