美容室の表現ガイド
美容室のホームページで避けたい表現と言い換え例|髪質改善・ヘッドスパ・クーポン
この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。
美容室のホームページやLP、予約サイトの店舗ページの文章を自分で書くとき、迷いやすいのが「髪質改善」「ヘッドスパ」「クーポン」まわりの表現です。この記事では、厚生労働省・消費者庁などの公表資料をもとに、避けたい表現と言い換え例、公開前のチェックリストを整理します。
結論(この記事の要約)
- 施術メニューの説明は主に景品表示法、店販の商品(シャンプーなど)の説明は薬機法と景品表示法の両方で考えます
- 化粧品のシャンプーやトリートメントで書ける効能は、国が示した範囲に限られます。「育毛」「髪質が変わる」「傷まない」は避けます
- ヘッドスパは、2025年2月の厚生労働省のガイドラインの考え方に合わせ、「マッサージ」「肩こり改善」などを使いません
- 予約サイトのクーポンの期限や口コミの特典は、2025〜2026年にエステティックサロンで処分が続きました。同じ仕組みを使う美容室も確認が必要です
- ヘアカラーでかぶれることがある旨と、パッチテストの案内を載せます
何が問題になるのか(根拠と公表日)
施術メニュー:景品表示法
施術の説明や料金の表示には、景品表示法がかかります。効果をうたう場合は、合理的な根拠が必要です(不実証広告規制に関する指針、2003年10月28日、2016年4月1日一部改正)。
料金については、価格表示ガイドライン(2000年6月30日、その後改定)が、ほかの客向けの価格と比べる表示で条件が実際と違ったりあいまいだったりすると、不当表示のおそれがあるとしています。新規価格と通常価格を並べるときに関係します。
店販の商品・薬剤:薬機法と化粧品の効能の範囲
- 薬機法66条は、何人も、化粧品などの効能・効果について虚偽・誇大な広告をしてはならないと定めています
- 化粧品で表現できる効能は、厚生労働省の通知(2011年7月21日、薬食発0721第1号)の56項目の範囲です。頭皮・毛髪については「頭皮、毛髪を清浄にする」「毛髪にはり、こしを与える」「フケ、カユミを抑える」「裂毛、切毛、枝毛を防ぐ」など16項目があります
- 医薬品等適正広告基準の解説(2017年9月29日)は、美容師などが推せんしている旨の広告を、事実であっても不適当としています。店頭で使い方を実演するような場面まで禁止する趣旨ではないとしています
- 「何人も」が対象なので、店販商品の説明文を書く人(制作者を含む)も無関係ではないと考えられます(筆者の解釈)
「髪質改善」というメニュー名は、商品名と結び付けなければ、薬機法の直接の対象にはなりにくいと考えられます。それでも、髪質そのものが長く変わると受け取られる書き方は、景品表示法の問題になりえます(筆者の解釈)。
ヘッドスパ:あはき・柔整広告ガイドラインⅦ章(厚生労働省、2025年2月18日)
Ⅶ章は、国家資格のない人の施術について、痛みの症状や慢性の「肩こり・疲労」などへの施術の表現を、広告やウェブサイトに表現すべきでないとしています。「マッサージ」の語の使い方を問題とした国民生活センターの指摘(2012年8月2日)も引かれています。
美容師はあん摩マッサージ指圧師ではないため、ヘッドスパの説明もこの考え方に合わせるのが安全です(筆者の解釈)。首や肩まわりの施術をどこまで行えるかは、所管の保健所にご確認ください。
予約サイトのクーポンと口コミ(消費者庁)
- 2025年8月28日:フェイシャル専門サロンの確約計画を認定。予約サイトの口コミで全項目★5を条件にした割引、従業員の★5の投稿、提供実績のない比較価格を書いたクーポンが対象
- 2026年3月3日:エステティックサロンの確約計画を認定。クーポンの有効期限の後も、同額以上の割引で受けられた
- 2026年3月25日:エステティックサロン3社に措置命令(有利誤認)。有効期限付きのクーポンの割引が、期限後も適用されていた
令和6・7年度の運用状況の事件一覧に、美容室を名宛人とする事件は、筆者が確認した範囲では見当たりませんでした。ただ、同じ予約サイトの仕組みを使う美容室にも、同じ考え方が当てはまると考えられます(筆者の解釈)。
ヘアカラーのリスク
- 消費者安全調査委員会(2015年10月23日):酸化染毛剤はかぶれ(アレルギー性接触皮膚炎)を起こしやすく、異常のなかった人でも続けるうちに起こることがあるとし、理美容師への周知などを求める意見を出しました
- 国民生活センター(2026年5月20日):美容所で「かつら用」のヘナ製品が頭髪に使われ、救急搬送された事例などを公表し、美容業界に製品の用途と成分の事前確認を要望しました
- 染毛剤とパーマ剤は、広告に使用上の注意を付け加えるべき医薬部外品とされています(医薬品等適正広告基準の解説)
NG例と言い換え例
料金・クーポン・口コミ
| 避けたい表現(例) | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「通常6,600円→新規4,400円」(通常価格で受ける人がほとんどいない) | 比較の条件が実態と違うと、不当表示のおそれがあります(価格表示ガイドライン) | 「初回 4,400円/2回目以降 6,600円(税込)」と同じ大きさで並べる |
| 毎月更新する「◯月末まで」のクーポン | 期限後も同じ割引が続いた例に措置命令が出ています(2026年3月) | 常設の割引は、期限を付けずに表示する |
| 「カット3,300円〜」(ロング料金・指名料などの加算は別ページ) | 適用の条件や別にかかる費用を示さない表示は、不当表示のおそれがあります | 「カット 4,400円(税込・シャンプーブロー込み)/ロング +1,100円」と同じ行に書く |
| 「地域No.1サロン」「カリスマ美容師」 | 根拠を示せない比較・最上級の表現は、優良誤認のおそれがあります(筆者の解釈) | 「美容師歴15年」など、確かめられる経歴を書く |
| 「口コミで全項目★5なら次回500円引き」、スタッフによる投稿 | 確約計画の認定例と同じ型です(2025年8月) | 「ご感想をお聞かせください(評価は自由です)」とだけ伝え、特典と切り離す |
髪・頭皮・商品の説明
| 避けたい表現(例) | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 店販のシャンプーで「育毛」「抜け毛予防」「頭皮環境を改善」 | 化粧品の効能の範囲(56項目)を超えます | 「頭皮、毛髪を清浄にする」「フケ、カユミを抑える」 |
| 「髪質改善」「健康な髪に甦る」「傷んだ髪が回復する」 | 業界団体のガイドラインは、治療的な回復の表現を不可とし、表面を覆うなど物理的な補修の範囲なら可としています | 「補修成分で髪の表面をコートし、手ざわりをなめらかにします(仕上がりはシャンプーで少しずつ落ちます)」 |
| 「ダメージゼロ」「傷まないカラー」 | 効能や安全性を保証する表現は不可とされています(適正広告基準の解説) | 「髪の状態を見て、薬剤の種類と時間を調整します」 |
| 「頭皮の奥まで浸透」「毛根に届く」 | 浸透の表現は、髪の内部や角質層までの範囲に限られます(業界団体のガイドライン) | 「髪の内部へ浸透」「角質層まで浸透」 |
| 「天然由来だから安全」、何を除いたか書かない「無添加」 | 天然成分を理由に安全をうたう表現は不可です。「無添加」は、添加していない成分を示します | 「シリコン無添加(配合していない成分:◯◯)」 |
| 「白髪が減る」「白髪予防」 | 化粧品にも育毛剤にも、白髪の予防・改善の効能はありません | 「白髪をなじませるグレイカラー」 |
| 「美容師がすすめるシャンプー」「プロ推奨」 | 美容師などの推せんは、事実であっても不適当とされています | 「当店の施術で使っているシャンプーです」 |
ヘッドスパ・写真
| 避けたい表現(例) | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「頭痛・肩こり改善」「自律神経を整える」「マッサージ付き」 | Ⅶ章の考え方(症状への施術の表現、「マッサージ」の語)に合いません | 「シャンプー台で頭皮を洗い、指の腹で頭皮をほぐすヘッドスパ(30分)」 |
| 縮毛矯正の前後写真で、照明・角度・スタイリング剤の有無を変える | 使用前後の比較写真は、同じ条件で撮り、作為的な操作を加えないものとされています(適正広告基準の解説・業界団体のガイドライン) | 前後とも同じ条件で撮り、「施術直後・スタイリング剤使用」と条件を書く |
LP構成のチェックリスト
メニュー・料金
- 税込で表示し、長さや指名などの加算を料金と同じ行か同じ表に書いている
- 新規と2回目以降の料金を、同じ大きさで並べている
- 予約サイトのクーポンの期限が、実際の運用と合っている
施術・商品の説明
- 店販商品と使用する薬剤が、化粧品か医薬部外品かを確かめてから効能を書いている
- 「髪質が変わる」「傷まない」「育毛」「白髪が減る」を使っていない
- ヘッドスパは内容と時間で書き、「マッサージ」や症状の改善を書いていない
安全
- ヘアカラーでかぶれることがある旨、過去に異常があった方は予約時に知らせてほしい旨、パッチテストの受け方を書いている
スタッフ・写真・声
- 美容師免許(国家資格)は事実の範囲で書き、民間資格には発行団体の名前を付けている
- スタイル写真は自店で撮影し、色やツヤを加工していない。素材写真には「モデル(イメージ)」と書いている
- お客様の声は接客や雰囲気についての内容にし、選び方を書いている
- 口コミのお願いを、★の数や特典と結び付けていない
サンプルLPの紹介(架空店舗のデザインサンプル)
「美容室 ふさね」は、ミセノマドが作った架空の美容室のLPです。
- 料金は税込で示し、髪の長さによる加算を図と表で書きました。表にない費用はかからない旨も明記しています
- ヘッドスパは「シャンプー台で頭皮を洗い、指の腹で頭皮をほぐします」と、内容だけを書きました
- 「ヘアカラーについてのお願い」の欄で、かぶれのおそれと、毛染めの48時間前に行うパッチテストを案内しました
- スタイル写真とスタイリスト紹介の写真は、モデル(イメージ)であることを明記しました
※架空店舗のデザインサンプルです。実在の店舗・人物とは関係ありません。写真はイメージです。
まとめ
- 施術メニューは景品表示法、店販の商品は薬機法と景品表示法で考える
- 商品の効能は国が示した範囲の言葉で、施術は内容・時間・料金で書く
- クーポンの期限と口コミの特典は、実際の運用と合わせる
- ヘアカラーのリスクとパッチテストの案内を、予約の前に読める場所に置く
ミセノマドのLP制作では、ガイドラインに沿った表現の自主チェックを行い、気になる表現の理由と言い換え案をお伝えしています。ご相談はココナラで受け付けています(サービスの案内)。
注記
- この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
- 「筆者の解釈」と書いた部分は、公表資料をもとにした一般的な解釈で、行政の判断ではありません。
- 内容は、2026年10月2日に確認した資料にもとづいています。ガイドラインや法令は改正されることがあります。
- 薬機法の条文は、厚生労働省の解説ページで内容を確認したものです。条文の本文はe-Gov法令検索でご確認ください。
- 業界団体のガイドラインは法律ではない自主基準ですが、広告の基準を解釈する目安として参照されています(筆者の解釈)。
出典
- 厚生労働省「医薬品等の広告規制について」
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(2011年7月21日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(2017年9月29日)
- 日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン 2020年版」(2020年6月15日)
- 厚生労働省「あはき・柔整広告ガイドライン」(2025年2月18日)
- 公正取引委員会・消費者庁「不実証広告規制に関する指針」(2003年10月28日、2016年4月1日一部改正)
- 消費者庁「価格表示ガイドライン」(2000年6月30日、改定あり)
- 消費者庁 確約計画の認定(2025年8月28日)
- 消費者庁 確約計画の認定(2026年3月3日)
- 消費者庁 エステティックサロン3社への措置命令(2026年3月26日公表)
- 消費者庁 景品表示法等の運用状況(令和6年度、2025年5月29日/令和7年度、2026年5月28日)
- 消費者安全調査委員会「毛染めによる皮膚障害」(2015年10月23日)
- 国民生活センター「酸化染料を含むヘナ製品によるアナフィラキシーが発生」(2026年5月20日)