美容室の表現ガイド
美容室のホームページに載せるヘアカラーの注意書き|かぶれとパッチテストの文例
この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。
ヘアカラーのかぶれのおそれとパッチテストの案内は、ホームページに載せておくと、予約の前に読んでもらえます。この記事では、公的機関の資料をもとに、注意書きの根拠と文例、避けたい表現を整理します。
文例はお店の案内文の範囲にとどめ、症状の見分け方や手当ての方法は扱いません。髪質改善・ヘッドスパ・クーポンの表現は美容室のホームページで避けたい表現と言い換え例にまとめています。
結論(この記事の要約)
- 注意書きには、かぶれることがある旨、過去に異常があった方は予約時に知らせてほしい旨、パッチテストの受け方、当日の頭皮の状態の4点を入れます
- 2015年10月23日の消費者安全調査委員会の報告書と厚生労働省の通知は、理美容師に、情報提供・事前の確認・代替案の提案を求めています
- 国民生活センター(2026年5月20日)は、美容所で頭髪用でないヘナ製品が使われた事故を公表しました
- 注意書きは予約ボタンより前に置き、「肌にやさしい」「ヘナだから安心」「失敗なし」などは使いません
何が根拠か
消費者安全調査委員会の報告書(2015年10月23日)
消費者安全調査委員会は「毛染めによる皮膚障害」の報告書で、次の点を示しました。
- 酸化染毛剤(医薬部外品のヘアカラー)は最も広く使われているが、主成分の酸化染料のため、染毛料など他のカラーリング剤よりアレルギーを起こしやすい
- これまで異常のなかった人でも、毛染めを続けるうちにかぶれる(アレルギー性接触皮膚炎)ことがある
- アレルギーの場合、いったん治まっても再び使えば発症し、次第に重くなって全身症状が出ることもある
- 調査では、いま通っている理美容院での毛染めで、かゆみなどの異常を感じたことがある人が14.6%いた
報告書は、外箱の注意表示(日本ヘアカラー工業会の自主基準)として、「毎回必ず染毛の48時間前」に皮膚アレルギー試験(パッチテスト)を行う旨を紹介しています。医師が行う検査と区別するため、報告書はこのテストを「セルフテスト」と呼んでいます。
また報告書は、理美容師が、48時間かかるテストを強く勧めるなど、客の要望に反する対応をとりにくい状況にあると分析しています。予約の前にホームページで伝えておけば、店頭で切り出しにくい案内を補えます(筆者の解釈)。
厚生労働省の通知(2015年10月23日)
同じ日に、厚生労働省は都道府県などへの通知で、理容所・美容所への継続的な周知を求めました。理美容師が毛染めの施術で行うこととして、次の3つを挙げています。
- 酸化染毛剤とアレルギーの特性、対応策などを、客に情報提供する
- 過去に毛染めで異常を感じた経験の有無や、当日の肌の状態などを確かめる
- 酸化染毛剤が適さない客には、リスクを丁寧に説明し、染毛料などを使う代替案を示して、酸化染毛剤を使わない
ホームページの注意書きは、1つ目の情報提供と、2つ目の確認の準備にあたります(筆者の解釈)。
国民生活センターのヘナの注意喚起(2026年5月20日)
- 美容所で、かつら用(人体に使う前提のない雑貨)のヘナ製品が頭髪に使われ、含まれていた酸化染料でアナフィラキシーショックを起こし、救急搬送された事故情報が寄せられた。美容所は「ジアミン無配合」と説明して、この製品に切り替えていた
- 「黒く染まる」とされるかつら用の3銘柄すべてから、酸化染料が検出された
- 美容業界などに、製品の用途と成分の事前確認の徹底や、施術前の確認のための研修の強化を要望した
- 消費者には、アレルギーの経験がある人は、自分でパッチテストをする前に医師へ相談するよう呼びかけた
同じ資料によると、ヘナを含む頭髪用の化粧品も、厚生労働省の通知(2006年9月6日)により、使用前にパッチテストを行う旨などを容器や外箱に書くことになっています。
染毛剤・パーマ剤は「使用上の注意」を広告に添える医薬部外品(2017年9月29日)
医薬品等適正広告基準は、使用上の注意を特に促す必要がある医薬品等の広告に、その注意か、注意に留意すべき旨を書き添えるよう定めています。厚生労働省の解説は、対象の医薬部外品に殺虫剤・染毛剤・パーマネント・ウェーブ用剤を挙げています。
商品名を出さないメニューの説明が、この基準の広告に当たるとは限りません。それでも、同じ薬剤を使う施術の案内には、注意を添えるのが自然です(筆者の解釈)。
文例
次の文例は、お店の案内文の例です。お店の実際と、薬剤の注意書き(外箱・説明書)に合わせて書き換えます。
置き場所は次のようにします(筆者の解釈)。
- 予約ボタンより前に、本文と同じ文字の大きさで置く。別ページやリンク先だけにしない
- メニュー表からも、注意書きへリンクする
メニュー・料金の欄
料金表のすぐ下に、短い一文を添えます。
- 「ヘアカラー・パーマ・縮毛矯正は、髪や頭皮の状態によってお受けできない場合があります(下の『ヘアカラーについてのお願い』をご覧ください)。」
- 酸化染毛剤を使わないメニューがある場合:「酸化染毛剤を使わないヘアマニキュア(化粧品の染毛料)もあります。」
- ヘナを扱う場合:「頭髪用のヘナ(化粧品の染毛料)を使います。ヘナでも、使う前のパッチテストが必要です。」
メニュー名に「やさしい」「安心」を付けず、薬剤の区分を事実として書きます。
はじめての方へ(ヘアカラーについてのお願い)
枠で囲み、予約ボタンの前に置く文の例です。
- 「ヘアカラー(酸化染毛剤)で、かぶれることがあります。これまで問題がなかった方でも、くり返すうちに起こることがあります。」
- 「過去に毛染めで、かゆみ・赤み・腫れが出た方や、気分が悪くなったことがある方は、ご予約の際にお知らせください。その場合は、酸化染毛剤のカラーとパッチテストは行わず、ほかの方法をご相談します。」
- 「酸化染毛剤のカラーでは、毎回、染める48時間前に皮膚アレルギー試験(パッチテスト)を行うよう、薬剤の注意書きで求められています。ご希望の方は、カラーの48時間前までにご来店ください。」
- 「頭・顔・首筋に、はれもの・傷・皮膚の病気がある日は、カラー・パーマ・縮毛矯正をお控えください。」
- 「施術中に、かゆみ・痛み・しみるなどを感じたら、すぐにお知らせください。施術を止めて、薬剤を洗い流します。」
- 「カラーのあとに、かゆみや赤みなどが出たときは、医療機関にご相談ください。次回の施術のため、当店にもお知らせください。」
2つ目の文で、過去に異常があった方にはパッチテストも行わないとしたのは、国民生活センターの呼びかけ(テストの前に医師へ相談)に合わせたためです。4つ目は、報告書が紹介する外箱の注意表示(使用しない方の例)に合わせました。
最後の文は、手当ての方法を書かず、医療機関への相談をすすめる形にしています。報告書によると、染毛剤の説明書には、染めたあとに異常を感じたら医師の診断を受けるよう書かれていますが、理美容院での毛染めで症状が出て受診した人は3.6%でした。
予約時の確認項目
WEB予約のフォーム、LINE、電話で伺う項目の例です。
- 過去に毛染めで、かゆみ・赤み・腫れが出たり、気分が悪くなったりしたことがあるか(ある/ない/わからない)
- 前回のカラー・パーマ・縮毛矯正の時期
- 頭・顔・首筋に、はれもの・傷・皮膚の病気がないか(当日の朝にも確かめていただく)
- パッチテストを希望するか
- 酸化染毛剤を使わない方法(ヘアマニキュアなど)を希望するか
「ある」「わからない」と答えた方には、お店から連絡して、ご来店前に相談する流れを書いておきます。詳しい様子はカウンセリングで伺うと、お店が預かる情報を少なくできます(筆者の解釈)。
よくある質問に、薬剤の持ち込みを「用途や成分を当店で確かめられないため、お受けしていません」と書く方法もあります。
避けたい表現
| 避けたい表現(例) | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「肌にやさしいカラー」「頭皮にしみない」「100%安全」 | 酸化染毛剤は、異常のなかった人でもかぶれることがあります。薬剤の広告では、安全を保証する表現や「刺激が少ない」などは原則使わないとされています(適正広告基準の解説) | 「カウンセリングで、これまでのカラーの様子と当日の頭皮の状態を伺ってから始めます」 |
| 「ヘナは天然だから安心」「植物100%で体にやさしい」 | 天然成分を理由に安全をうたう表現は認められていません(同じ解説)。かつら用のヘナが美容所で使われた事故も公表されています | 「頭髪用のヘナ(化粧品の染毛料)を使います。ヘナでも、使う前のパッチテストが必要です」 |
| 「ジアミン無配合だから、かぶれた方も大丈夫」「薬剤を変えれば染められます」 | 国民生活センターの事例では、「ジアミン無配合」と説明した製品に酸化染料が含まれていました。2015年の報告書は、製品を変えれば改善すると考える人(56.6%)を、リスクの認識が十分でない例に挙げています | 「過去に毛染めで異常があった方には、酸化染毛剤のカラーは行いません。ほかの方法をご相談します」 |
| 「パッチテスト不要」「当日すぐ染められます」 | 酸化染毛剤の注意表示は、毎回48時間前のテストを求めています。「不要」はこれと食い違います(筆者の解釈) | 「当日のご予約も承ります。パッチテストをご希望の方は、カラーの48時間前までにご来店ください」 |
| 「失敗なし」「絶対にチリつかない」「一生ストレート」 | パーマ剤も、使用上の注意を広告に添える医薬部外品です。結果の保証や持続の断定は、優良誤認や不実証広告規制の対象になりえます(筆者の解釈) | 「髪の状態や施術の履歴によっては、お受けできない場合や、薬剤・範囲を調整する場合があります」 |
サンプルLPの紹介(架空店舗のデザインサンプル)
「美容室 ふさね」は、ミセノマドが作った架空の美容室のLPです。
- 「はじめての方へ」に「ヘアカラーについてのお願い」の枠を作り、予約ボタンより前に、本文と同じ大きさで書きました
- 料金表の下に「お受けできない場合があります」と書き、お願いの枠へリンクしました
- よくある質問で、かぶれたことがある方への対応と、薬剤の持ち込みをお断りする理由を答えました
※架空店舗のデザインサンプルです。実在の店舗・人物とは関係ありません。写真はイメージです。
まとめ
- 注意書きは、かぶれのおそれ、過去の異常の申し出、パッチテスト、当日の頭皮の状態の4点で組み立て、予約の前に読める場所に置く
- 過去に異常があった方には酸化染毛剤を使わず、ほかの方法を相談する流れを書く
- 「安全」「やさしい」「天然だから安心」「失敗なし」は使わず、薬剤の区分と確認の手順を書く
ミセノマドのLP制作では、ガイドラインに沿った表現の自主チェックを行い、気になる表現の理由と言い換え案をお伝えしています。ご相談はココナラで受け付けています(サービスの案内)。
注記
- この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
- この記事は医療上の助言ではありません。かぶれなどの症状や、毛染めを続けてよいかについては、医師・医療機関にご相談ください。
- 「筆者の解釈」と書いた部分は、公表資料をもとにした一般的な解釈で、行政の判断ではありません。
- 日本ヘアカラー工業会の自主基準の内容は、2015年の報告書に引用されたものです。最新の内容は、同工業会の公表資料でご確認ください。
- 内容は、2026年10月5日までに確認した資料にもとづいています。ガイドラインや法令は改正されることがあります。
出典
- 消費者安全調査委員会「毛染めによる皮膚障害」(2015年10月23日)(報告書のページ/概要)
- 厚生労働省「毛染めによる皮膚障害の周知等について」(2015年10月23日)(通知の写し/東京都保健医療局の掲載ページ)
- 国民生活センター「酸化染料を含むヘナ製品によるアナフィラキシーが発生」(2026年5月20日)(発表のページ/報道発表資料)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(2017年9月29日)
- 公正取引委員会・消費者庁「不実証広告規制に関する指針」(2003年10月28日、2016年4月1日一部改正)