士業の表現ガイド

行政書士事務所のホームページで気をつけたい業務範囲と広告表現|2026年改正

公開 2026年10月5日|ミセノマド

この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。

行政書士事務所のホームページで、どの業務まで載せてよいか、どう書けばよいかを、2026年1月1日施行の改正行政書士法と、日本行政書士会連合会(日行連)の「行政書士職務基本規則」をもとに整理します。

結論(この記事の要約)

  • 行政書士法に、広告を定めた条文はありません。表現の目安は、職務基本規則17条です。ホームページやSNSも含め、事実に合致しない・誤認や誤導のおそれがある・誇大な広告宣伝を禁じています
  • 2026年の改正で、品位の保持などの職責が条文になり、19条に「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」が加わりました
  • 税務・登記・労働社会保険の手続き・紛争の代理・特許などの出願は、ほかの士業の業務です。担当する範囲とほかの専門家の担当を分けて書きます
  • 結果の保証や「最安」は避け、報酬は実費と分けて税込で示します

行政書士の広告ルールはどこにあるか

行政書士法(2026年1月1日施行の改正)

行政書士法は、広告そのものを定めていません。ホームページに関係するのは、次の条文です。

  • 職責(1条の2):常に品位を保持し、公正かつ誠実に業務を行う。2026年の改正で新しく置かれました
  • 業務(1条の3第2項):他の法律で制限されている書類の作成は行えない
  • 信用失墜行為の禁止(10条)、報酬の額の掲示(10条の2)、秘密を守る義務(12条)、所属会と日行連の会則を守る義務(13条)

2026年の改正(令和7年法律第65号)では、次の点も変わりました。

  • 特定行政書士が代理できる不服申立てが、行政書士が「作成することができる」書類に係る許認可等に広がりました。本人が申請した許可についても依頼できます
  • 19条の追加について、総務省は「手数料」「コンサルタント料」などどんな名目でも、行政書士でない者が対価を得て書類を作るのは違法という解釈を条文に示した、と説明しています(2025年6月13日の通知)

日行連の行政書士職務基本規則(2024年4月1日施行)

職務基本規則は2024年4月1日に施行され、それまでの「行政書士倫理」は同じ日に廃止されました。2026年にも改正されています(1月22日・7月15日施行)。

  • 17条(広告宣伝):「ホームページ、SNS等によるもの」を含むと明記し、不当な目的や品位を損なうおそれのある広告宣伝、事実に合致しない内容、誤認・誤導のおそれのある内容、誇大な広告宣伝を禁じています
  • 15条:依頼者を紹介した対価を求めることや、紹介の対価を報酬に上乗せすることを禁じています
  • 8条6項:誤認混同のおそれがある名称や、品位を害する名称を事務所に使わない
  • 24条:報酬額表を事務所に掲示し、インターネットなどでも公表するよう努める

廃止された「行政書士倫理」10条を、広告の根拠として紹介する解説もあります。記事の公開日と規程の名前を確かめてください。

所属する行政書士会の会則・規則

都道府県ごとの行政書士会には、それぞれ会則があります。広告やホームページについて、会員向けの規則や指針を設けている会もあると考えられます(筆者の解釈)。公開されている会則だけでなく、会員向けの規則や通知も確認してください。

景品表示法

行政書士のサービスの表示も、景品表示法の対象になると考えられます(筆者の解釈)。内容や料金を実際より著しく良く・有利に見せる表示は禁止されています。No.1表示の根拠の条件は、消費者庁の報告書(2024年9月26日)が整理しています。

業務範囲の書き方(他士業の独占業務との分担)

相続や許認可の手続きには、ほかの士業が担当する部分があります。

手続き・業務担当する専門家根拠となる法律
相続税などの申告、税務書類の作成、税務相談税理士税理士法2条・52条
登記の手続きの代理(相続登記・会社設立の登記など)司法書士司法書士法3条・73条
労働社会保険の法令にもとづく申請書・帳簿書類の作成、提出の代行社会保険労務士社会保険労務士法2条・27条
報酬を得る目的で行う、法律事件の代理・和解など弁護士弁護士法72条
特許・商標などの出願の代理弁理士弁理士法75条

税理士法52条には、行政書士法19条や社会保険労務士法27条にある「報酬を得て」の限定がありません。無料と書いても、税務相談を受けるように読める表示は避けます(筆者の解釈)。

書き方のポイント

  • 事務所が担当することを、書類や手続きの名前で具体的に書く
  • ほかの専門家が担当する部分を同じページに書き、料金表にも「含まれないもの」として書く
  • 紹介する場合は、契約は各専門家と結ぶこと、費用が別にかかること、紹介料を受け取らないことを書く
  • 迷っている相談者には、それぞれの専門家への相談をすすめる一文を添える

NG例と言い換え例

結果の保証・比較

避けたい表現(例)理由言い換えの例
「許可取得率100%」「必ず許可が取れます」許可は行政庁が審査して決めます。結果を約束するように読める表示は、誤認や誇大な広告宣伝にあたるおそれがあります(筆者の解釈)「審査の結果を保証するものではありません」。実績は期間と母数を添えて書く
「業界最安値」「地域No.1」比較や最上級の表示には、客観的な根拠が要ります報酬を税込で示し、ほかの事務所と比べない
「元◯◯庁職員だから通りやすい」特別な関係があるように読めます。職務基本規則19条は、公務員等との私的関係を利用した交渉を禁じています「◯◯庁で◯年、許認可の窓口業務を担当」と経歴だけを書く
「◯◯省認定事務所」事実でなければ、事実に合致しない広告宣伝です「◯◯県行政書士会 会員(登録番号◯◯)」

業務範囲の外に見える表示

避けたい表現(例)理由言い換えの例
「相続税の申告まで対応」「税務相談OK」税理士の業務です。「対応」と書くと、事務所が受けるように読めます(筆者の解釈)「相続税の申告が必要な場合は、税理士にご依頼いただきます」
「会社設立(登記込み)」登記の代理は司法書士の業務です「定款の作成と認証の手続きまで担当します(登記は司法書士が行います)」
「雇用関係の助成金の申請代行」雇用関係の助成金も、労働社会保険の法令にもとづく手続きにあたると考えられます(筆者の解釈)「雇用関係の助成金は社会保険労務士の業務です」
「示談交渉」「未払金を回収」「トラブル解決」報酬を得て法律事件の代理や和解を扱えるのは、弁護士です(弁護士法72条)。「交渉」「回収」は代理と受け取られやすい言葉です(筆者の解釈)「内容証明郵便の文書を作成します(相手方との交渉・代理は行いません)」
「審査請求も代理します」(付記なし)行政書士が不服申立ての代理をできるのは、特定行政書士に限られます(行政書士法1条の4第2項)付記を受けている場合だけ「特定行政書士」と書く
「相続手続きまるごと代行」「ワンストップ」登記・申告・交渉まで受けるように読めます(筆者の解釈)「遺産分割協議書の作成などを担当します。登記は司法書士、相続税の申告は税理士が担当します」

報酬の表示

避けたい表現(例)理由言い換えの例
「◯円〜」だけで、実費の記載がない報酬額の掲示は法律の義務で(10条の2)、規則はネットでの公表にも努めるよう求めています。消費者に示す価格は税込で表示します(消費税法63条)「報酬◯円(税込)+申請手数料◯円(実費)」
「不許可なら全額返金」を大きく書き、条件は別ページ離れた場所の条件は気付かれにくくなります(打消し表示の報告書、2017年)返金の割合と対象外の条件を、料金表のすぐ下に同じ大きさで書く

お客様の声・事例

避けたい表現(例)理由言い換えの例
依頼者の名前や事案を、同意なく載せる行政書士法12条と職務基本規則11条は、業務で知った秘密を漏らすことを禁じています書面で同意をもらい、個人や会社が特定されない書き方にする
好意的な声だけを選ぶ。謝礼を払った声を一般の声として載せる選び方や謝礼の事実が分からないと、実際の評判より良く見えます(筆者の解釈)。選び方の考え方は、消費者庁のステマQ&Aが参考になります「当事務所が選んで掲載しています」など選び方を書き、謝礼があればその事実も書く

LP構成のチェックリスト

  • 事務所名と、行政書士の氏名・所属会・登録番号を書いている
  • キャッチコピーに「必ず」「100%」「No.1」「最安」を入れていない
  • 事務所が担当する書類・手続きと、ほかの専門家が担当する部分を、同じページに書いている
  • 紹介する場合の契約先・費用・紹介料の扱いを書いている
  • 審査請求の代理は、特定行政書士の付記を受けている場合だけ書いている
  • 報酬と実費を分け、税込で書いている
  • 不許可のときの扱いと、結果を保証しない旨を、料金表のすぐ下に書いている
  • 期間の目安に、審査期間が含まれるかどうかを書いている
  • 声や事例は書面の同意をもらい、選び方と謝礼の有無を書いている
  • 素材のモデル写真を、代表やお客様の写真として使っていない

AIで下書きした原稿には、「ワンストップ」「許可率100%」のような言い回しが入ることがあります。AIで作ったLP・ホームページを公開前に見直す12項目もあわせて確認してください。

サンプルLPの紹介

「つむぎ坂行政書士事務所」は、ミセノマドが作った行政書士事務所のLPのデザインサンプルです。

  • 「行政書士が担当すること・ほかの専門家が担当すること」の図で、登記は司法書士、相続税の申告は税理士、争いがある場合の交渉は弁護士と分けました
  • 紹介する場合は、契約を各専門家と結ぶことと、紹介料を受け取らないことを書きました
  • 料金は報酬(税込)と実費を分け、不許可のときの返金の条件と、結果を保証しない旨を表のすぐ下に置きました
  • お客様の声には写真を使わずアイコンで表示し、「個人の感想です」と添えました

つむぎ坂行政書士事務所(デザインサンプル)を見る

まとめ

  • 表現の目安は、職務基本規則17条と所属会の規則、景品表示法
  • 担当する範囲と、ほかの専門家の担当を同じページに書く
  • 結果の保証・比較・No.1は避け、報酬は実費と分けて税込で示す
  • 解説記事は公開日を確かめ、改正後の条文と現行の規則で確認する

ミセノマドのLP制作では、ガイドラインに沿った表現の自主チェックを行い、気になる表現の理由と言い換え案をお伝えしています。ご相談はココナラで受け付けています(サービスの案内)。

注記

  • この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
  • 広告やホームページの規則は、所属する行政書士会によって異なることがあります。掲載の前に、ご自身が所属する行政書士会の会則・規則をご確認ください。
  • 「筆者の解釈」と書いた部分は、公表資料をもとにした一般的な解釈で、行政や行政書士会の判断ではありません。
  • ミセノマドは、官公署に提出する書類や契約書の作成は行いません。個別の案件が業務範囲に入るかどうかも判断しません。
  • 内容は、2026年10月5日に確認した資料にもとづいています。

出典

表現ガイドの一覧へ